おいしいものが食べたい

26週で妊娠糖尿病の診断あり。日々気になったことや自分のためのメモを気ままに書いていくブログ。

コウノドリ シーズン2 感想

シーズン1から何年後の話かなーと思っていたら、1話で「なおとくんが2歳」と言っていたのですぐわかりました。

全体を通して感じたこと

鴻鳥先生と四宮先生

2人の絆を感じたところがいくつか印象に残っています。
妊婦さんの心配をするあまり無理をしそうな鴻鳥先生に対して四宮先生が「お前が大丈夫じゃないんだよ」と肩に手を置くシーン、父親の危篤時に快くサポートする鴻鳥先生、2人並んで廊下を歩くところ、などなど。良いコンビだな〜と思います。

食べ物

シーズン2を通して印象強かったのが食べ物(笑)
鴻鳥先生が ポヤング焼きそば/焼きそばパン
四宮先生が 牛乳/ジャムパン(他人を励ます時はホイップクリーム入り/救命科に行く下屋先生や術後の小松さんへのお見舞い品)
下屋先生が 焼肉/焼肉弁当 で、加瀬先生の影響なのか屋上でアイス食べてるところ見て笑いました。甘いもの欲しくなるのかもしれない。
子宮内胎児死亡回の時にプリンが出てきて食べたくなりました。
あと四宮先生がお土産の品がなんの海産物なのかきっちりわかっているところに地元民感を感じました。
お話の中のちょこっとした食べ物の話、大好きだぜ。
あと度々飲み会のシーンが出てきて、大人数で楽しそうに話しながら飲み食いしているシーンを見て「いいなぁ〜またやりたいなぁ〜…」としみじみしました。コロナ禍の今、ああいった飲み会の独特の雰囲気を体験したことがない(できていない)人がいると思うと、少し悲しくなります。早くコロナが終息しますように。
余談だけど子どもがワクチン接種できない以上、大人がワクチンを接種して集団免疫を獲得することが子どもを守ることだと考えているのですが、世の中のワクチン拒否する人がいるせいでそれも実現が微妙かと思うとちょっともにょる…。いやもちろんワクチン接種しないことを選ぶ権利もあるとは思っているけども。

テーマ

シーズン2で印象強く感じたテーマは「産んだ後も現実は続いていく」「ひとりじゃない。誰かに頼っていい」です。

前者は1話目で何度か出てきて、2話目で産後鬱になりそうな産褥婦が出てきたことから、シーズン2は産後のことを主なテーマとして取り扱っていくのかな?と思い、10話でも似た文言を繰り返していたことから、これがこのドラマのメッセージの一つだと思いました。
病院でできることは限られている。退院した後もその人たちの人生が続いていく。だからこそ、医療従事者として病院にいる時には寄り添い支えてあげることが大切な役割だと学ぶことができました。

後者は誰かがつまづいた時に必ず周りの人が助けに入っていたこと、「頼ることは悪いことじゃない」と何度も言っていた印象があったことから感じることができました。
鴻鳥先生がトラウマに苦しんでいる時にその心身を案じていた四宮先生、躓いた時にお互い話をしてくれた下屋先生と白川先生、手術を受けるのが怖かったという小松さんの本音を言える存在である向井さん、ひとりで地域の産科を支えて自分が倒れた時は息子に頼った四宮先生(父)、数え出したらキリがないほど、作中に「人と人との支え合い」が描かれていたと思います。

コウノドリというドラマは、「出産は奇跡、命は尊い」という考えが前提のもと、その産まれた命にはその後に続く人生があり、その人生は人と人との繋がりの中で紡がれていくこと。困難なこともあるけれど人はひとりではなく支え合って生きていけること。誰かに頼ることは甘えなどではなく生きていく上で当たり前のことなのだと、伝えている気がしました。

キャストについて

みんないい意味で老けてるのに四宮先生(星野源さん)だけタイムスリップしてきてない?気のせい?


各話ざっくり感想

第1話 全ろうの妊婦、心室中隔欠損

シーズン1の1話目と同様、シーズン2の1話目でもさらっと未受診妊婦がまた出てきたことに、シーズン1の1話目を若干踏襲していなと感じました。島の中で妊婦が噂されず見つからず未受診てこともあるのか〜という思いはさておき。
監督の指示なのか、四宮先生がだいぶ柔らかくなっている印象を受けました。シーズン1で口唇口蓋裂の妊婦に説明不足で「妊婦には優しくしてください!」と言われた学びを活かしてなのか、今回の心室中隔欠損の夫婦には、新生児科の今橋先生と一緒に四宮先生も丁寧に説明しているシーンを見て「おお…成長している…」と思いました。
好きなセリフ
四宮先生「何言ってんだ。手伝う?お前の子だよ」
患者家族にも容赦ない物言いする四ノ宮先生のキャラって大事よな…好き…。

第2話 子宮頸部腺がん

出産時に研修医が邪魔になってる感じ、リアルで笑ってしまった。
子宮頸がんの治療を取るか、出産を取るか。鴻鳥先生の出生の経緯を知っている人なら、真っ先に鴻鳥先生の母親のことを思い浮かべていると思います。
「子どもを産める産めないで、価値なんか決まんないよ」という夫のセリフ、特定層へ刺されと思いました。

鴻鳥先生「お母さんの癌の状態は、蓋を開けてみないとわからないよ」
四宮先生「蓋を開けてから、ベビーに重い後遺症が残りました、じゃダメなんだ」
鴻鳥先生「予想以上に癌が進んでいたら早かったらどうする」
四宮先生「予想以上にベビーの後遺症が残ったらどうする」

この2人の産科医が真っ向から意見が割れた時、四宮先生が3人目の産科医である下屋先生に意見を求めるところに、下屋先生を1人の医師とし認めていることが感じられて感動しました。産科専門医になった下屋先生の実力が成長しているとともに、そこに意見を求めるようになった四宮先生も成長していると思います。医師として第三者の意見を聞くのは当然の行動と言われればそれまでだけど。
NICUの意見として白川先生が意見を述べているところにも成長を感じられました。
そしてその後、四宮先生と小松さんの意見がまた軽く食い違った時、仲違いせずそれを確認したのもみんなの成長だと思うし、シーズン1を踏まえてのやりとりだなと思いました。そしてそこからの締め台詞「老けましたね」(笑)。こういうちょいちょい挟まれてるギャグ大好きです。
この一連の各意見の確認で、シーズン1の四宮先生と比較してシーズン2の四宮先生が「周りと円滑に意見交換ができる程度にコミュニケーション力が成長している」と感じました。いや言い過ぎかもしれない。

余談ですが、子宮頸がんワクチンについて。
産婦人科の先生が積極的に接種するよう働きかけてはいますが、やはり今も日本の摂取率は先進国の中で問題になるほど低いままだそうです。ワクチンで防げる癌なのに、摂取率が低いために子宮頸がんの死亡率が先進国の中で高いのも問題になってますね。現在更に問題になっているのは、ワクチンを輸入しているのに摂取率が悪いために破棄する事態になるかもしれないこと、そうなると今後の輸入量等に影響が出るかもしれないことです。
私自身、やはり昔ワクチンの副作用が大々的に報じられたことで、母親は私にワクチンを接種させず「よかった。あれは危ないと思ったんだ」と漏らしていました。小松さんのいう通り「子どもを守るのは母親の役目」で、まさにうちはそれが当てはまった家庭になります。今からでも接種すべきかと言われればそうなんだろうけど、今現在新型コロナや風疹のワクチン接種が控えており、更に経済的にも余裕があるわけではなく(9価ワクチンは10万くらいするらしい)、接種するにしても娘がいる今時間を取るのもやや難しい(コロナの関係で一緒に病院に行くのも憚られる)状態なので、子宮頸がんのワクチン接種は優先度的に低いと言わざるを得ません。でももしこれで今後自分が子宮頸がんになったら「打っておけばよかった」って思うんだろうなぁ…難しい。

第3話 産後うつ、無痛分娩

佐野さん自殺しちゃうかと思いました。助かってよかったです…。
佐野さん(母)の、育児や仕事に対する価値観と娘への無神経な言動、「職場ではイクメンって言われてるんですよ」とか能天気にのたまう育児してるつもりになってる夫に、心の底から「クソだな」と思いました。
一方、四宮先生が夫に言った言葉、思ったより優しかったのに驚きました。昔の四宮先生だったらもっとキッツイこと言ってたんじゃないかな〜と思います。いっそその方がスカッとしたかもしれません。

この回を見て、やはり母親に必要なのは、母親が休息を取れる時間を作ること、赤ちゃんと離れる時間を作ること。それができるよう周りがサポートすること。実務的なことだけでなく、精神的に寄り添うことも必要だと思いました。
赤ちゃんがずっと泣いてると、佐野さんのように「私がダメな母親だって言いたいの?」と被害妄想に陥ってしまうことも現実にあるんだと思います。なのでそうなる前に、佐野さんには諸々サポートが必要だったのに、実の親にも夫にも寄り添ってもらえず孤独を助長してしまったこと。それが鬱の原因の一つであると思いました。
「母親の休息」というのは睡眠時間のことだけでなく、誰かと話したりおいしいものを食べたりすることだと考えます。作中、佐野さんが仕事の同僚からのメールに表情を明るくさせて、部屋を片付けて身なりも整えていたように、「ゆっくりお茶を飲みながら誰かと話をする時間」は母親の気分転換、つまりは心の休息に十分なり得ると考えます。あと、自分の身内以外の人に我が子を「かわいい」と言ってもらえるのって、結構自己肯定感が増す気がします。今回は、同僚との話で更にショックを受け「自分は誰にも必要とされていない」と鬱傾向が加速してしまいましたが、そのように誰かとの対話で精神的ショックを受けたことを、また別の誰かに話すことができる環境があれば、産後鬱に陥る可能性も低くなるのではないかと思いました。

母親としては、周りに頼ること、優先順位を考えること(考える気力もないかもしれないけど…)が必要かなと思いました。
私自身、周りというか夫に頼るのが憚られた時期があり、1人で全部やろうとして一週間実際にワンオペした後、爆発しました(というか24時間一回も娘の顔も見ようともせず、1日何があったかどうだったかも聞かず、1人で夕飯食べて1人で風呂入って1人で勉強して1人で寝るのなんなの?って思ったし実際に「あなたは娘のなんなの?」って言うくらいにはキレました)。なので今思えば、ちゃんと最初から夫に言葉にして頼って、無理しない方がよかったなと思いました。素直になれなかった私の反省点です。
優先順位というのは、今回佐野さんは育児より仕事を優先して考えて行き詰まったように見えたからです。「早く保育園に入れて仕事に復帰しないと、会社での自分の居場所がなくなる」という焦り、産後まもない母親にとって本当に良くない心労だと思います。なので全世界の会社は妊婦及び産後の母親が安心して育児に取り組めるように仕事を考えて欲しい…無理だろうけど…どこかに皺寄せがきても余裕で回せる仕事場ってとても少ないんだろうな…悲しきかな。

第4話 トーラック

妊婦さんが陣痛きて救急搬送されたとき、付き添いの夫が同僚と屋形船で飲み会するから出産する時間が知りたいと小松さんに訊いた後の
小松さん「屋形船!?」(信じられない顔)
が好きでした。「奥さんが陣痛で苦しんでいてこれから出産するって時に飲み会に行くとかお前何考えてんの!?」という言外のメッセージがありありと伝わってきました(笑)言葉にしすぎない演出が好きです。そして臨月の妊婦差し置いて飲み会に行く(行こうとする)全国の男、見ているか。一生恨まれるしあり得ないぞ。
で、長時間の陣痛に耐えた末に経膣分娩が難しいと判断され帝王切開に切り替えるってときに、小松さんが夫にかけた「屋形船残念だったねぇ」という言葉に対して「ふざけたこと言ってすみませんでした!」と夫が改心しているのも好きでした。陣痛の壮絶さって、実際に見ないと絶対「わからない」ところがあると思います。実際に経験してみて本当にそう思ったし、あれを世の男性たちに理解してもらうのは少し難しいだろうなと思います。(今思い返しても痛すぎて軽くパニックになってました。)だからこそ、男性は絶対に経験できないからこそ、出産時に奥さんの陣痛を和らげるのを手伝ったり、気持ちや訴えを聞いて反発したり茶化したりすることなく寄り添える男性は素晴らしいなと思いました。

恥ずかしながらトーラックという言葉を初めて知りました。帝王切開で出産後も経膣分娩できる場合があるとは知っていましたが、トーラックというんですね。
作中、四宮先生はじめ諸先生方は、母子の健康を第一としてトーラックはやめるべきだと提言しました。正直、私も医療者の端くれのため、この四宮先生寄りの考えでした。
それに対して、周りの提言を聞き入れた上で、妊婦さんの希望に沿った出産にできるよう寄り添う対応をした鴻鳥先生は本当に優しいし強いと思います。そして、鴻鳥先生をはじめ小松さんら女性陣が「(出産時の母子の危険を承知した上で)それでも女には下から産みたいという気持ちがある」という旨の発言を聞き、少し考えを改めました。

というのも、妊婦さんの境遇を自分に当てはめて考えると、このトーラックを希望する妊婦さんの気持ちが少しわかったからです。
私の娘は最初、逆子でした。逆子が治ったのは34週あたり、産休に入った後だと記憶しています。なので、それまでは帝王切開で産む気でした。その時、「帝王切開で産むのは当然」と思うと同時に「下から産んでみたかった」と思っていたことを思い出したのです。
作中でも語られている通り、一度帝王切開で出産すると、以後の出産では子宮破裂などのリスクがあるため、以降の出産方法はほぼ帝王切開が選択されます。更に、帝王切開での出産の場合は、腹腔内の癒着などの関係で設ける子どもの人数も限られてきます。なので、第一子で経膣分娩できなかった場合は、一生経膣分娩を経験することがない(できない)可能性があります。
それらを理解していたからこそ、第一子が帝王切開となるかもしれないと知った時、「下から産んでみたかった」と思ったのです。なので、このお話の妊婦さんが最初のお産で後悔を残し、次のお産では絶対に経膣で産みたいという気持ちを持っていたのも、うまく言葉に表せませんが、僅かに共感できました。その気持ちは作中で語るには難しいと思いますし、ドラマを見ていて共感できる人も、性別関係なく少ないかもしれません。でも、確かにそういう気持ちがあることを、作中の小松さんのセリフで表していたことに、少なからず感動しました。脚本家ってすごい。
「経膣分娩にこだわる妊婦の話」はシーズン1でもありましたが、こだわる理由は人それぞれで、こういったパターンもあるのだなぁと思った人もいるんじゃないかと思います。

第5話 切迫早産、子宮内胎児死亡(死産)

無理(情緒が)
シーズン2の情緒崩壊回でした。出産前後の死亡、ドラマの中でも本当に悲しくて涙が止まりませんでした。死産した妊婦役の篠原ゆき子さんの演技が本当に鬼気迫る演技だったのも号泣した一因です。控えめだけど自然な演技が魅力的で、特に「お腹の中で赤ちゃんが亡くなっていることを知った時」「その現実を受け入れようとしているけど、悲しみと絶望が溢れてくる感覚」は、表情ひとつひとつから、言葉に言い表すことが難しいそれらの心情がひしひしと伝わってきて痛々しかったです。

キューブラー・ロスの死の5段階の受容過程は有名ですが、下記のような言動・行動で描写されていたかなと思います。

①赤ちゃんの心拍がエコーで確認できないことを認めたくない心(否認)
②医師の指示に従い入院し切迫流産のために安静保持や点滴を頑張っていたにも関わらず、赤ちゃんがお腹の中で死亡してしまったことへの憤り。
隣のベッドで同じ切迫早産の治療をしている人は3人目の出産だし元気そうなのに、自分は元気な赤ちゃんを産むことができなかったという現実に対する劣等感。(怒り)
③子宮内胎児死亡の原因は何か医師に尋ね、自分を説得しようとしている行動。助産師と夫とともに、子ども(の遺体)を沐浴する(取り引き)
④死産で赤ちゃんに吸ってもらうことはできないのに張る胸に抱く虚無感(抑うつ
⑤旅立ちの間でたくさんのスタッフに順番に大切に抱っこされ、夫作のケーキのメッセージを見て、死産とはいえ自分が赤ちゃんを産んだ現実を受け入れる(受容)

順番が異なるところもありますが、概ねこんな感じかと思います。どのシーンもとても辛かったです。
死産という受け入れ難い現実を目の前にした元妊婦さんに対し、助産師である小松さんが、限られた時間の中で夫婦が赤ちゃんに愛を注ぎ死を受け入れられるように声をかけるシーンは、辛かったのと同時に感心したシーンでした。事が事だけに言葉選びや口調、伝える内容もかなり考えないといけないことかと思います。おそらく夫婦は、子どもの死を受け入れるためにどうすればいいかわからないでいると思いました。そこに小松さんが、「戸籍に残せないこと」「一緒にいられる時間が限られていること」をやんわりと伝えた上で、「たくさん抱っこしてあげて。」「手形や足形をとってもいいし、お風呂に入れてあげてもいい。」と、本当にひとつひとつ具体的に「やれること」を言葉にして伝えたことは、頭が真っ白な夫婦にとって大変な助けになったと思います。また、ショックの大きい妻に代わって夫が「じゃあ、お風呂に入れてあげてもいいですか」と希望を出したのも、妻にとっては大きな助けであったと思います。夫は無口ですが、この時沐浴を希望しただけでなく、胎児死亡で泣き崩れる妻を黙って抱きしめる、旅立ちの間で自作のメッセージプレート付きのケーキを出すなど、行動で妻をサポートする良き夫であると感じました。
最後、夫婦が正面玄関からのお見送りを希望したのは、夫婦共に「子どもの死を受け入れることができた」表れだと感じました。

元同室で3人目を妊娠していた妊婦さんに「元っ気な赤ちゃんを産んでね!」と言ったシーンは、劣等感と喪失感と絶望に苛まれながらも他人を気遣うことのできる優しくて明るい人柄の現れだと思いました。

第6話 切迫早産、甲状腺クリーゼ

そういえば総合病院の内科初診時に甲状腺機能の検査したことを思い出しました。甲状腺クリーぜという、こんな恐ろしい事態になる可能性がある疾患が隠れているかもしれないことは知りませんでした。
下屋先生にとってはショックな出来事でしたが、それを受け止めて次に進もうとする下屋先生の打たれ強さが好きです。
救命救急科部長の人柄があまりに「あ〜〜〜いる〜〜〜わかる〜〜〜」って感じでそこは笑ってしまいました。

第7話 子宮腺筋症、卵巣チョコレート嚢胞

未婚・既婚・子持ち・子なしに関わらず、女性の象徴ともいうべき臓器である子宮を摘出しなければならないことは、少なからず喪失感が伴うものだと思います。いつだかの話で、子宮全摘となった患者さんの子宮のことを院長が「お役御免ってとこだね」と言ったのに対して、小松さんが「じゃあキンタマいらないね」「女も同じことだよ」と言っていたのを思い出しました。
作中に45歳で妊娠した小松さんと同期の助産師さんが「さんざん患者さんに寄り添っていたのに、いざ自分のこととなるとわからないよね」と言っていたことは、小松さんにも言えることだと思います。患者さんにとって子宮全摘が喪失感を伴う処置であることを十分わかっている小松さんが、自身も同じ境遇になってその感情を抱いたことが容易に想像できました。また、小松さんほどのベテラン助産師さんでも摘出時に恐怖を抱いている描写から、医療者もひとりの人間であることが感じられました。
小松さんが一時休職するにあたり周りが快くサポートしてくれる環境であることが微笑ましかったです。親は既に他界しており兄弟もおらず夫もいない小松さんだけど、その温かく誠実な人柄は素晴らしく、小松さんの人望がいかに厚いかを感じられる回でした。
「子宮が最後の頼りだったんだ」というセリフが刺さりました。

第8話 総肺静脈還流異常症

赤ちゃんという小さな小さな人間の治療は本当に大変だと思います。赤ちゃんを心配する親御さん達の心に寄り添うことを大切にしている良い病棟だと思いました。
今回白川先生は、今橋先生の助言にも耳を傾けず、スタッフにも上から目線でやや天狗になり、結果として誤診という赤ちゃんの命を危険に晒す失敗を犯してしまいました。今橋先生や新井先生ほどの優秀な先生ですらそういう時期があったのだから、過ちがあってはならないけれど、多くの人が通る道であるのだと思います。前々回で下屋先生が甲状腺クリーゼの発見が遅れ母体死亡事例を経験して成長したように、今回は白川先生の成長回であると思いました。2人の良いところは失敗で立ち止まらず、周りの支えを得て前に進んでいこうとする姿勢だと思います。実際にはとても難しいことかと思いますが、フィクションでも向上心のある医師の姿を見るのは励みになるし、見ていて気持ちが良かったです。
言うべきことははっきり言い自身の失敗に最後まで責任を取らせる今橋先生、密かに新井先生に白川先生のフォローを依頼していた鴻鳥先生、本音を言い合える同期の下屋先生、などなど、(元)ペルソナ病院のスタッフは本当に素晴らしいなぁと思いました。

第9話 不育症

子ども好きの夫の思いに応えてあげられないのが一番辛い、という妻の思いがあまりに痛々しくて泣いてしまいました。流産を経験しているということは、それだけ失う経験をしているということだと思います。子どもが欲しいのに育たないというのは、想像を絶する苦しさなのだと思いました。エコーで見えた小さな小さな心臓の鼓動を見て、今腕に抱いている娘もこれくらい小さい時から頑張っていたんだよなぁと思い、泣けました。

四宮先生のお父さんの演技が大好きです。地域の妊婦さんのために身を削って頑張っているお父さん、立派です。四宮先生の知らないところで「自慢の息子だ」と言っていて、いざ自分の代わりに早剥の手術に入ってもらう時に家族に「信じてやってください」というの、父親から息子への信頼が感じられてとても良かったです。

第10話 新型出生前診断、21トリソミー(ダウン症候群)

白川先生とダウン症の子が戯れているシーンが好きすぎてセリフが全然入ってこず、そのシーンだけ3回くらい見直しました(笑)

人工中絶するということは、赤ちゃんを殺すということ。言葉が強いですがその事実から逃げてはいけないと思います。そしてきっと中絶処置を受ける妊婦さんはみんな、その苦しみと罪悪感と恐怖を少なからず抱いていると思います(知らんけど)。中絶した我が子を抱っこして「温かかった」と涙を流した元妊婦さんのシーンを見て、それを強く感じました。

出生前診断が命の選別である、という考えを私は否定しません。私の職場の上司は不妊治療を経てやっと第一子を授かった方でした。その方は高齢出産であったため「障害があったら育てる自信がないから出生前診断を受けた」と言っていました。私ももし自分が高齢出産の年齢に達していたら、出生前診断を受けたと思います。子どもがダウン症の場合、健常児と比較して、家族全員の未来が一変する大事です。作中でも言っている通り子どもを育てるのは家族だし、責任を負うのも家族です。だから私は出生前診断を受けることは責めることではないと思います。そしてその選択について医療者がどうこういうべきではないし、家族が結論を出したのならその選択を尊重するのが医療者としての在り方だと思いました。

最終話 21トリソミー(ダウン症候群)、羊水塞栓症によるDIC

最終回らしく、「オランダへようこそ」という詩とともに、いろんな赤ちゃんとそのご家族が流れるシーンで泣いてしまいました。そして21トリソミーを身ごもっている妊婦さんが、その家族に「みんなで支えてほしいんです」と素直に言ったこと、「トウコはひとりじゃない。この子もひとりじゃない」とその夫が言ったこと、「この子はみんなの子だものね」と妊婦さんの母親が言ったこと。このみんなで育てていく、ひとりではないというメッセージが、このドラマの大事なテーマの一つだと改めて思いました。

四宮先生は故郷へ、小松さんは助産院開設とそれぞれの未来を歩むことになっても、自分たちは「家族」だと絆を確認しあい、熱い抱擁を交わすシーンにジーンとしました。家族のいなかった鴻鳥先生が「家族」というからこそ、絆の強さがより表れていると思います。
主人公らしく鴻鳥先生が要としてペルソナ病院に残り、院外でも周産期医療を支えていく道を歩む3人がとても好きです。下屋先生や白川先生が、他所で頑張ってまたペルソナ病院の自分の診療科に戻ってきたい、と思っているところも好きです。コウノドリに出てくる先生はみんな命に真剣に向き合っていて一所懸命で、患者さんにも患者家族にも寄り添おうとしていて、見ていてとても心が温かくなるヒューマンドラマでした。

他、思ったこと。
・朝からあんぱん3個半は糖質エグいwwwwwwwwwwwやばいぞ と妊娠糖尿病を経験した私は思ったのであった。あんこ美味しいけどマジで糖質エグいよね。美味しいけど。
・鴻鳥先生が関わった離島でひとり医師を続ける先生、田舎でひとり産科医を続けた四宮先生(父)、重ねて作った設定なんだろうな〜と思ったら案の定ここでリンクさせてきてちょっと興奮しました。「ひとりぼっちで戦わなきゃいけないなんてことはない」支え合い、必要よね。
・救命科部長が下屋先生のこと認めてて私までめぇぇっっちゃ嬉しくなりました😂厳しい人が部下の成長を認める展開、好き。
・「水!」って言われた夫が自分が飲んじゃうの、シーズン1の1話を踏襲している(笑)
・小松さんの同期が羊水塞栓症になって助かる話をここに持ってきたんだなぁ。出血1500cc出てる時の生あくび、演技指導としては的確、そして怖いと思いました。助かって良かった。

他にも色々思ったことあった気がするけど長くなりすぎたので、思い出したら後でまた追記します。
娘を抱いて見るコウノドリ、良かったです(涙)