おいしいものが食べたい

26週で妊娠糖尿病の診断あり。日々気になったことや自分のためのメモを気ままに書いていくブログ。

妊娠時の血糖コントロール機序について

http://www.igaku.co.jp/pdf/1207_birth-03.pdf

2012年とだいぶ前とはいえ、こちらのリーフレット画像に書いてあることが興味深かったので、メモとしてここに残しておきます。気になったのは主に右上の「ここが最先端」のところ。

代謝とプロラクチン
妊娠中の女性は非妊娠時よりインスリン分泌能が増加し, 血糖値が高くなり,インスリン抵抗性になることはすでによく知られています。その機構は長い間解明されていませんでしたが,近年,順天堂大学の綿田裕孝教授らの研究か ら,インスリン分泌細胞(膵β細胞)を増殖させているのが神経伝達物質でもあるセロトニンであることが判明し ました。プロラクチンが膵β細胞に働いてセロトニン合成を誘導し,インスリン分泌能を亢進させる新たな機序が解明されました。この機能低下が妊娠糖尿病の発生につながると考えられています。プロラクチンが妊婦のインスリン抵抗性の原因物質であることが明らかにされました。プロラクチンとインスリン,そしてセロトニンという,一見無関係にみえる3 つの因子は周産期女性の体でとても密接な関わりを持っていることが明らかになってきたのです。 大人と異なり,胎児の発育にはインスリンや糖代謝がきわめて重要な役割を果たしていることも知られています。 産後うつ病との関連も含めて今後の研究が期待されています。

オキシトシン、プロラクチン、セロトニンについてはこちらの記事でも少しだけ触れました。このリーフレットの文章は、プロラクチンとセロトニンというホルモンが妊娠時にどのように血糖コントロールに関わっているのかをわかりやすく書いたものだと思います。

リーフレットの右下のグラフを見ると、インスリン抵抗性を高めているプロラクチンの分泌は妊娠後期に向けてどんどん増加し、分娩を機に急降下しています。「妊娠後期になると、より血糖値が下がりにくくなる」の正体はこれだったんだと、今初めて知りました。
そして色々なホルモンの名称を知ってはいるものの、それぞれの役割について無知なところがあるため、新ためてそれらについて勉強しようと思います。以下、ほぼWikipediaからの引用です。

そしてインスリンのページだけで今日は力尽きました。オエッ

インスリンとは

膵臓のβ細胞で産生されるペプチドホルモン。
血中を流れるブドウ糖が、肝臓、脂肪細胞、骨格筋細胞に取り込まれるよう促し、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を調節する。これらの細胞に取り込まれたブドウ糖は、グリコーゲンに合成されるか、脂肪生成作業を経て中性脂肪に合成される。肝臓においては、グリコーゲンと脂肪の両方に合成される。肝臓ではグリコーゲンの分解に伴うブドウ糖の生成作業(糖新生)と分泌が起こるが、血中のインスリン濃度が高いとき、これは強力に阻害される。血中を循環するインスリンは、身体のさまざまな組織におけるタンパク質の合成にも影響を及ぼし、血液中の小分子から細胞内の大分子への変換も促進する。

血中のインスリン濃度が低いとき、全身の体脂肪で異化作用が起こる。(異化作用とは、成分を分解して異なる物質に変える過程のこと。グリコーゲンをグルコースに分解するのも異化作用)

β細胞は血糖値に非常に敏感であり、高濃度のブドウ糖に反応する形でインスリンを分泌させ、逆に血糖値が低いときには、インスリンの分泌を阻害する。インスリンは細胞内へのブドウ糖の吸収およびブドウ糖による代謝を促し、それに伴って血糖値は低下する。

インスリンの活性の低下やインスリンの欠如は、血糖値の制御が不能となる糖尿病を惹き起こす。
糖尿病には「1型」と「2型」の2種類がある。

1型では自己免疫反応によってβ細胞が破壊されており、インスリンの合成機能は失われ、インスリンが血中に分泌されなくなる。

2型では、β細胞の破壊は1型に比べると際立ってはおらず、自己免疫反応によるものとは異なる。膵臓のランゲルハンス島の内部にアミロイドが蓄積していき、身体の生理機能を壊滅させる可能性がある。糖尿病に関しては、膵臓のβ細胞の縮小、β細胞からのホルモンの分泌機能の低下、インスリン抵抗性が関与していることが分かっている。2型糖尿病においては、グルカゴンの分泌量が増加する(グルカゴンは血糖値には反応しない)が、インスリンは血糖値に反応して分泌される

グルカゴンは膵臓ランゲルハンス島α細胞から分泌されるホルモンで、インスリンとは逆に血糖値を上げる。ブドウ糖の恒常性維持機能における重要機構の一つ。グルカゴンが分泌されるのは、β細胞からの信号を受け取った時(「グルカゴンは血糖値には反応しない」という記述はこの意味)。分泌されたグルカゴンは、肝臓におけるグリコーゲンの分解および糖新生を刺激し、それによって血糖値が上昇する。
血糖が高いとグルカゴンの分泌は本来であれば阻害される。

食べ物を食べたあとの血糖値の上昇とインスリンの分泌を最も強力に促進するのは炭水化物。タンパク質もインスリンの分泌を刺激するが、グルカゴンの分泌も誘発する。食べ物に含まれる脂肪分は、インスリンの分泌にほとんど影響を与えない。

炭水化物の摂取を減らすと、インスリン抵抗性は緩和される。
炭水化物を制限する食事は、インスリンの濃度が高い患者に有益である証拠が示された。

炭水化物が少なく、脂肪が多い食事は、空腹感と満腹感に大いに影響を与える。
炭水化物が多く、脂肪が少ない食事(カロリー制限食)と比較すると、
高脂肪食は体脂肪を減少させ、身体のエネルギー消費量の増加を促進する。

炭水化物を制限する食事は、体重を減らすという目的においても、低脂肪食よりも優れている証拠を示している。
また、炭水化物を制限する食事は、低脂肪食よりも大幅に体重を減らし、心血管疾患の危険因子も減少させる。
炭水化物の少ない食事は、血糖値とその制御の大幅な改善につながり、薬物の服用回数を減らせるだけでなく、服用の必要も無くなる可能性があり、この食事法は2型糖尿病の改善と回復にも効果的である証拠が示された。

1日を通して、インスリンの濃度が高い状態を避けることは、脂肪の蓄積を防ぐという意味でも大いに有効である。断食も有効な手段となりうる。

<まとめ>
・炭水化物の摂取量を減らす
・高脂肪食はエネルギー消費量の増加を促進する


エストロゲン、肥満、LPLの話

脂肪組織における脂肪の蓄積と減少と関連して、エストロゲンと肥満の関係の話を書き留めておく。

ヒトにおいても、卵巣を摘出したあとや、閉経後の女性の多くは肥満になる。
その理由は、エストロゲンの分泌量が減り、その脂肪細胞にLPLが大量に発現するからである。

以下はラットから卵巣を摘出した時の実験記録引用。(Wikipediaより)

LPL(Lipoprotein Lipase, リポプロテイン・リパーゼ)は、脂肪組織、骨格筋、心筋、乳腺を含む多くの末梢組織の表面に発現し、血中を流れる脂肪を細胞内に送り込む役割がある。

⭐︎LPLが脂肪細胞の表面に発現している時、血中の脂肪を脂肪細胞が取り込む。
⭐︎LPLが筋肉細胞に発現している時、脂肪は筋肉細胞に取り込まれ、筋肉はそれを燃料として消費する。

つまりLPLは筋肉細胞に発現して機能していることが良いこと!
脂肪細胞の表面に発現していると、太っていく。

エストロゲンには、脂肪細胞にあるLPLの活動を抑制・阻害する作用がある。

⭐︎細胞の周辺にエストロゲンが増えると、LPLの活性が低下し、脂肪が蓄積されにくくなる。
⭐︎逆に、このラットの実験のように卵巣を摘出することでエストロゲンが分泌されなくなると、脂肪細胞におけるLPLが活性化する。

LPLは、そこでいつもの仕事をする(脂肪を脂肪細胞に取り込む)が、脂肪を蓄積させる役割を持つLPLを妨害するエストロゲンが無いために、脂肪細胞には大量のLPLが発現し、そのせいで脂肪が脂肪細胞に次々に取り込まれ、ラットは肥満体となった。これがヒトにも起こって、閉経後は肥満になる。

・脂肪細胞の表面にあるLPLの活性化が失われ、筋肉細胞の表面にあるLPLが活性化すると、蓄積した脂肪が減少する。
・筋肉細胞の表面にあるLPLは、運動すると活性化する。が、運動をやめた途端それは止まる。

LPLとインスリンの関係

インスリンは「脂肪代謝における主要な調節器」であり、同時にLPL活性化の調節器でもあり、脂肪細胞におけるLPLの活性化を促す。

インスリンが分泌されればされるほど脂肪細胞におけるLPLの活性化はますます強まり、血中から多くの脂肪が脂肪細胞に流入していく。さらに、インスリンは筋肉細胞におけるLPLを抑制し、それによって筋肉が脂肪酸を燃料に使うこともできなくなる。

脂肪細胞から脂肪酸が放出されようという時にインスリンの濃度が高ければ、これらの脂肪酸は筋肉細胞には取り込まれず、燃料として消費されることも無く、インスリンによって脂肪細胞に再び押し戻される。

ここからは感想になるけど…
つまり「血中のインスリン濃度が高い」のは「悪いこと」。いっぱい分泌してりゃいいってもんじゃないんだね。分泌能が低下しているのも悪いことだけど、それ以上にインスリン抵抗性を改善させることが大切ってイメージがついた。

Wikipedia読んでたら果てしなくてここら辺で力尽きた